家に侵入したネズミの駆除│種類に合わせた効果的な対策とは

ネズミ 駆除

家の中に忍び込み、さまざまな被害を引き起こす小さな侵入者ネズミ。

ネズミが家の中に入ると、安全な場所に布や紙類を集めて巣を作り、あっという間に数を増やしてしまいます。放置をすれば、家の中のさまざまなものを荒らされるだけでなく、電源コードなどをかじることで、漏電が発生して火災の原因になることもあります。

また、ネズミの身体や糞尿には多くの虫や病原菌が潜んでおり、放置をすれば人やペットの健康被害につながるおそれがあるため、早急に駆除する必要があるのです。では、家の中に侵入したネズミは、どのように駆除すればよいのでしょうか。ここでは、被害を発生させるネズミの種類と、駆除の方法について解説します。

被害を出すネズミの種類

ネズミを駆除するには、まずはネズミの種類を特定することが大切です。ネズミの種類によって対策が違うため、間違った対策をするといつまでも駆除ができません

家に侵入して被害を出すネズミは、人間の生活環境に適応して、家屋内や周辺に生息していることから「イエネズミ」と呼ばれています。日本には、ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミの3種類がいます。

イエネズミの種類と特徴
ネズミの種類 ハツカネズミ クマネズミ ドブネズミ
体長 6~9cm 15~22cm 22~25cm
好きな食べ物 穀物や野菜など植物性の食べ物を好む 雑食なので動物性、植物性どちらも食べる
家の中の好む場所 屋根裏、押し入れ、壁と家具の隙間など 屋根裏などの高い場所 1階や床下など湿気の多い場所
特徴 狭いところを通り抜けられる きれい好き、高いところに登るのが得意、寒さに弱い 泳ぎが得意、高いところに登るのは苦手

ネズミによって習性が違うため、駆除するにはそれぞれのネズミに合わせた対策が必要です

天井裏にいるのはハツカネズミかクマネズミの可能性が高い

屋根裏から「カリカリと音がする」「トコトコと走り回っている音がする」といった場合、ハツカネズミかクマネズミの可能性が高いです。この2種類のネズミは、壁や柱を登ることが得意で、高い場所にいることができるため、屋根裏に住むことが多いからです。

そのため、屋根裏や階層の高い部屋でネズミの気配があれば、ハツカネズミかクマネズミ用の対策を行ってみましょう。

ドブネズミは床下から室内で侵入することが多い

一方、ドブネズミは垂直移動や細い場所を通るのが苦手なため、屋根裏にいることは少ないとされています。そのため、床下にいることが多いです。また、泳ぎが得意なので、生活排水の通り道から室内に侵入することもあります。

かじられた食べ物でもネズミの種類を判断できる

家屋のなかに侵入したネズミの種類は、かじられている食べ物で判断することができます。

実は、すべてのネズミが同じ食べ物を好むわけではありません。ネズミの好きな食べ物と聞くと穴のあいたチーズを想像する人も多いかと思います。

しかし、動物性タンパク質を好んで食べるのはドブネズミが多く、ハツカネズミとクマネズミは植物性の食べ物を好むため、あまり食べることがないのです。そのため、ネズミに食べ物をかじられた場合は、何を食べているかを確認することで、ネズミの種類を特定できる可能性があります。

かじられた食べ物には病原菌やバイ菌が付着していることがあるので食べないようにしましょう。

ネズミの被害を放置するリスク

ネズミの姿を見たり、捕まえたりするのは嫌なものです。だからといって放置をしても、状況が改善しないばかりか、ネズミが繁殖することで下記の被害がでるおそれがあります。

  • ノミやダニの発生
  • 糞尿による健康被害
  • 食害による火災

ネズミは繁殖力が非常に強く、環境が良ければ短期間でも相当な数まで増えてしまいます。 ネズミの数が増えるほど被害も拡大するおそれがあるため、早めに駆除をしましょう。

ノミやダニの発生

ネズミの体にはノミやダニが付着していることがあります。ネズミが家屋に浸入すると、同時にノミやダニも家の中に侵入することになります。

ノミやダニは基本的に宿主であるネズミの体にくっついて吸血していますが、ネズミが死んだり大繁殖して数が増えたりすると、新しい宿主を見つけるために移動します。その結果、人間やペットに付着して健康被害を引き起こすおそれがあります。また、ダニが家の中で繁殖し、糞や死骸が家屋内に散乱すると、アレルギー症状を引き起こす可能性が高まります。くしゃみ、鼻水、かゆみなどの症状が現れるだけでなく、喘息の発作を引き起こす原因になりかねません。

ネズミの侵入に伴うノミやダニの被害は、健康にとって深刻な問題です。家の中で安全に暮らすためには、適切で早急な対策を講じることが大切です。

糞尿による健康被害

ネズミの糞尿には、さまざまな病原菌がいることがあり、子どもやペットが触ったり、口の中にいれたりすると、健康被害を引き起こす可能性があります。

また、ネズミの糞尿が乾燥して粉塵となり、これを吸い込むことでアレルギー症状や呼吸器系に影響を与える可能性があります。

電源コードをかじられると火災につながるおそれがある

ネズミの歯は一生伸び続けるため、硬いものを定期的にかじって削る必要があります。その特性から、家の中のさまざまなものをかじることがあります。特に注意が必要なのは電源コードなどです。電源コードがネズミにかじられると、内部が露出してショートや過熱が発生することで火災につながることもあります。

ネズミ駆除におすすめの対策

ネズミを駆除するには次の方法があります。

駆除の方法おすすめ度有効なネズミの種類
駆除業者高★★★★☆ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミ
忌避剤高★★★★☆ハツカネズミ、クマネズミ
超音波中★★★☆☆ハツカネズミ、クマネズミ、ドブネズミ
粘着シート中★★★☆☆ハツカネズミ、クマネズミ
ネズミ捕り低★★☆☆☆ハツカネズミ、ドブネズミ
毒エサ最低★☆☆☆☆ドブネズミ

ネズミ駆除の方法をネットで調べてみると、いろいろな方法がでてきます。どの方法も効果があったりなかったりとレビューの内容もさまざまです。実際はどの方法も、ネズミ駆除に対する効果は期待できます。ただし、間違った使い方をすれば駆除は難しくなるため、ネズミの種類に適した方法を取ることが大切です。

また、ネズミは臆病で警戒心が強い動物です。さらに個体差もあるため、完全に駆除するにはある程度時間がかかることを覚悟しておきましょう。

専門業者に依頼をする

専門業者に依頼してネズミを駆除する方法は、効果的で確実な解決策です。専門業者は豊富な知識と経験を持ち、適切な手法を用いてネズミ駆除を行うためです。

また、駆除だけでなく、巣の撤去や糞尿の清掃、消毒まで行うため、安心して生活をおくることができます。また、ネズミの侵入経路をふさぐ工事なども行っているため、被害の再発を防ぐこともできます。

費用がかかる

専門業者にネズミ駆除を依頼する場合、問題となるのが費用です。ネズミ駆除の費用は、清掃、消毒などを含めると約5~20万円です。ネズミの侵入口をふさぐ工事などを依頼すれば別工事となり、追加費用が発生することもあります。少しでも費用を抑えるなら、複数の業者に見積りを取って比較をしてから依頼をする、自身でできることは依頼しないなど、工夫が必要です。

忌避剤(きひざい)

忌避剤はニオイや成分でネズミを寄せ付けないことで、駆除する方法のひとつです。虫や動物は、本能的に避けるニオイや成分があります。ネズミの場合は、ミントやハッカなどに含まれるメントールやトウガラシに含まれるカプサイシンなどの成分が該当します。

忌避剤を使うことで、すでにネズミが家屋に侵入していれば、ネズミを追い払うことができます。さらに家のなかに侵入しようとするネズミを寄せ付けない効果が期待できます。

忌避剤の良いところは、ネズミが自ら居なくなってくれることです。糞尿や巣などの片づけは必要ですが、死骸の処理などはする必要がありません。

成分がとどまりやすい場所に設置する

忌避剤は、ネズミの嫌なニオイを発して、家のなかを居心地の悪い空間にすることで、ネズミを追い払います。

ニオイがとどまることで効果を発揮するため、設置するならなるべく空気の動かない場所にしましょう。おすすめは、天井裏や床下など、ネズミが潜んでいそうな場所です。ネズミがよくとおる場所だからといって、屋外や窓のそばに設置すると、雨風で成分が散ってしまい効き目がなくなるおそれがあるため避けましょう。

なお、忌避剤は、子供の手の届かないところやペットが近づけない場所に設置しましょう。間違えて誤食したり、忌避剤の成分が影響して健康を害するおそれがあるためです。

設置後に体調がすぐれない場合は、商品の注意事項やメーカーのWebサイトで対処法を確認して、適切な処置をしてください。

忌避剤は継続的な仕様が効果的

忌避剤は全てのイエネズミに効果を発揮する可能性が高いです。ただし、効果があるのはニオイや成分が効いている期間と場所です。

効果が切れるとネズミが侵入するおそれがあるため、忌避剤の効果が弱まってきたら、すぐに取り替えて常に効果が出ている状態を維持しなければいけません。

超音波

超音波は、簡単にいうとネズミの嫌がる音を発して寄せ付けなくするものです。ネズミは警戒心の強い動物なので、いつもの行動範囲に、見慣れないものが置いてあり、さらに音を発していると近づかないようになります。その結果、ネズミを駆除するための効果的な手段となります。

超音波は、人間には聞こえにくい音域の音なので作動していても生活への影響は少ないでしょう。そのため、天井裏や床下だけでなく、ネズミが出やすいキッチンなどでも設置できます。

コスパがいい

超音波は一度購入すれば、壊れるまで使えるという点です。超音波には電源で動くものと電池で動くものがあります。どちらにしても、電源を供給するだけで本体は買い替える必要がないため、長期間使用できます。

ある程度の音量がでないと効果が薄い

超音波で大切なのが音量です。音圧ともいいます。超音波は、人間に聞こえない音域の音ですが、音の大きさがあります。超音波を発していても、音量が小さければネズミとって不快な音にならないことがあります。そのため、目安として130デシベル以上ある製品を選びましょう。

放置するとネズミが慣れてしまうことも

超音波は、ネズミにとってうるさいかもしれませんが、それ以外に害があるわけではありません。設置して間もない頃は警戒して近づかなくなるかもしれませんが、音を出すだけでそれ以上なにもないと分かれば、慣れてしまうことがあります。

一度慣れてしまうと、設置場所を多少変えても効果がありません。そのため、いくつかの製品を定期的に交換して使うなどネズミに慣れさせない対策が必要です。

粘着シート

粘着シートは、紙や布上のシートの上に粘着剤を塗ったものです。

ネズミが粘着シートの上を通ると、身動きが取れなくなり捕獲できます。粘着シートは置くだけなので手軽に設置ができます。他の駆除方法と比べてコストが低いので経済的です。

ただし、粘着シートはネズミだけでなく、他の小動物やペットにも接触する可能性があるため注意が必要です。また、ネズミが捕獲された後は、シートを適切に処理する必要があります。

ネズミが苦しむことや、不衛生な状態が発生することを避けるためにも、捕獲後は迅速かつ適切に処理することが重要です。

汚れていたり濡れているネズミには効果が薄い

粘着シートの粘着剤は、ホコリや砂などが付着すると粘着力が低下します。ネズミの身体は、ホコリやゴミ、油分が付着していることがあり、ネズミが粘着シートに触れると、毛や皮膚が付着する前に、先に汚れがくっついてしまい粘着しないことがあります。

また、ネズミが濡れていてもくっつきにくいため、ドブネズミに対しては効果が薄いです。ハツカネズミやクマネズミに対しては効果が期待できますが、身体をきれいな状態にしてあげるとくっつきやすくなります。

そのため、粘着シートを設置するときは、周辺に新聞紙などを敷き、ネズミの足についた汚れを吸着さえる工夫をすることで、粘着シートの効果を高められます。

ネズミ捕り(捕獲器)

ネズミ捕りは、ネズミを捕まえるための罠です。一般的なネズミ捕りのタイプとしては、生け捕り型と殺傷型の二つがあります。

生け捕り型のネズミ捕りは、捕まえたネズミを殺処分する必要がありますが、生きたまま捕まえることで、身体についたノミやダニが離れるのを防げます。一方、殺傷型のネズミ捕りは、ネズミが罠にかかると死んでしまうことが多いため、殺処分をする必要はありませんが、身体についているノミやダニが離れてしまい家中に散ってしまうことや、放置すると病原菌が発生するおそれもあります。

ネズミ捕りは屋外や濡れた場所でも設置できるため、床下などにいるドブネズミに対して有効です。

仕掛けの作動音で他のネズミが逃げる

ネズミ捕りのなかには、仕掛けが作動するときに大きな音が発生するものがあります。ネズミは警戒心が強い動物なので、大きな音がでると逃げてしまい、近づきにくくなります。

ネズミが捕まっているのを実際に見れるので、効果があると思うかもしれません。しかし、ネズミは群れで行動し繁殖力も高いため、1~2匹捕まえたとしても被害はなくならないでしょう。さらに、作動の度に大きな音が鳴っていると、他のネズミが警戒して入らなくなるため、捕獲率も下がってきます。

毒エサ

毒エサはネズミを駆除するための薬剤を含んだエサです。ネズミが毒エサを食べると、毒成分が体内で作用して死んでしまいます。

ネズミ駆除の方法でおすすめ度が一番低いのが毒エサです。理由のひとつが、毒性です。毒エサの毒成分は、ネズミだけでなく人やペットにとって危険なものです。子どもやペットが間違えて口に入れてしまった場合、健康リスクが生じるおそれがあります。

また、毒エサを食べた弱ったネズミをペットがくわえたり遊んだりすることで、毒の成分を摂取することもあります。

さらに、毒エサを食べたネズミがしばらくたってから死んでしまうと、回収が難しくなります。死骸を放置すれば虫や病原菌の発生原因になるため、なるべく毒エサは使わないほうがよいでしょう。