ネズミ駆除の定番となっている超音波グッズは、安全に使用でき、コスパに優れているため人気の製品です。なぜ超音波がネズミの駆除に効果を発揮するのでしょうか。インターネットで調べてみると「ネズミが苦手な超音波を発して駆除する」と記載されているケースが多いです。
実はこれ、半分正解ですが、半分は間違いです。
超音波に対する正しい知識があれば、数ある超音波グッズのなかから、効果の高い製品を選ぶことが可能となります。おすすめのグッズも紹介しているので確認しておきましょう。
超音波はただの音
大前提として、超音波というのは、人間には聞き取れない音域の音をいいます。人間は、一般的に20~20,000 Hz(20 kHz)の音域の音を聞くことができますが、20,000Hzよりも高い音が超音波です(20Hz以下は超低周波です)。
超音波と聞くとそれだけで何か特殊なものに聞こえますが、一般的な音と物理的には変わりません。
超音波がネズミ駆除に使われるひとつの理由は、人間に聞こえない音だからです。ネズミが聞こえる音域は、200~68,000 Hz(68 kHz)と言われており、人間よりも高い音を聞くことができます。人間には聞こえないけれどネズミには聞こえる音を使うことで、ネズミだけに影響を与えることができるのです。もし、家の中でネズミ駆除の音が24時間365日鳴っていたら、ネズミより先に住んでいる人の方がストレスで音を上げてしまうかもしれません。
超音波を使えば、そのようなことがないため、安全にネズミを駆除できるようになります。
ネズミに効くかどうかは音量がカギ
超音波でネズミを駆除する際に大切なのが音量です。超音波は人間に聞こえない音域の音なので、音量もあります。ネズミに限らず多くの動物は、大きな音が鳴ると驚きます。さらに、大きな音が不規則で定期的に鳴り続ければ、居心地の悪さを感じるでしょう。大音量の超音波をネズミに使うことで、駆除につながる可能性が高くなるのです。
超音波グッズには、音域の単位であるHz(ヘルツ)の記載があるものが多いですが、音量の単位であるdB(デシベル)の記載があるものが少ないように思います。
音域も確かに大切なのですが、音量が小さければネズミを驚かせる効果も低くなります。ネズミ駆除の効果がある音量は110dB以上ほど必要で、これは車のクラクションと同じくらいの音の大きさです。これを超音波で流すことで人間にとって無音でも、ネズミにとってはクラクションが鳴っているような環境を作ることができます。
超音波で効果的にネズミ駆除を行う方法
超音波駆除器はネズミを寄せ付けない、あるいは追い払うことを目的としているため、ネズミを殺処分する必要がありません。殺生を避けたい人にとっては、精神的なダメージが少ない方法だと言えるでしょう。
ただし、超音波グッズは、効果のある製品を正しく使うことでネズミ駆除に効果を発揮します。
また、他の駆除方法を組み合わせることでさらに効果を上げられる可能性があるため、確認しておきましょう。
ネズミの音や気配のする場所に設置する
超音波グッズはネズミの足音、糞、かじった後といった痕跡のある場所に設置しましょう。超音波グッズの目的は、ネズミにとって居心地の悪い環境を作り建物から追い出すことです。
ネズミは警戒心が強い動物で、よほどのことがない限り毎日同じ場所を使って移動するため、活動する範囲が限られています。そこを超音波グッズでつぶしていくことで、ネズミにストレスを与えることができます。
ネズミは、いつものエサ場が使えなくなると、活動場所を変える可能性が高いです。そのたびに超音波グッズの設置場所を変えるのは、手間がかかるしイタチゴッコのように感じるかもしれません。しかし、活動場所を変えるたびにネズミは落ち着くことができないため、居心地の悪さを感じさせることができるでしょう。
ネズミは活動範囲が限られているとはいえ、超音波グッズ1台の届く範囲は限られています。そのため、複数台設置したほうが効果的です。
粘着シートと一緒に設置すると捕獲率が上がる
超音波グッズは、他の駆除グッズと組み合わせることで効果を高めることができます。その一つが粘着シートです。粘着シートは、台紙に粘着剤が塗布されている製品で、ネズミが粘着剤に触れると動けなくなり捕まえることができる仕組みです。
ネズミは身体能力が高いため、粘着シートと粘着シートの間を歩いて避けてしまうことがあります。しかし、超音波グッズを利用することで、ネズミが音に驚いたはずみに粘着シートに触れる確率を上げることができるのです。
超音波でネズミ駆除をするときの注意点
超音波は薬剤などを使わないため、安全に使えるネズミ駆除グッズです。
しかし、使用する際は下記の点に注意が必要です。
- 人によっては超音波が影響することがある
- ペットにストレスを与えることがある
- 音に慣れると効果が薄れる
人によっては超音波が影響することがある
超音波グッズは、製品によって発する超音波の音域が異なります。中には、人間が聞こえる音域に近い超音波を発するものもあり、特に小さな子どもが感じてしまう傾向があります。超音波グッズが発する音が人間に悪影響を与える可能性は低いですが、キーンという高い音が聞こえ続けると、頭痛やめまい、吐き気などの症状が現れることがあります。また、長時間超音波に晒され続けると、ストレスを感じたり、集中力が低下したりする可能性もあります。
そのため、超音波グッズを選ぶ際は、なるべく音域が高い製品を選ぶようにするとよいでしょう。
ペットにストレスを与えることがある
ペットを飼っている人は、超音波グッズによってストレスを与えるおそれがあるため注意しましょう。音が聞こえる音域の範囲を可聴域(かちょういき)といい、犬は65~120,000Hz、猫は20~100,000Hzとも言われており、超音波グッズの音が聞こえてしまうためです。
ペットが超音波を不快に感じてストレスを感じたり、恐怖心を抱いたりすることがあります。また、長期的に超音波に晒され続けると、ペットに大きなストレスを与えるおそれがあります。
したがって、ペットを飼っている家庭では、超音波駆除器の使用は慎重に検討する必要があります。
超音波は、硬い物質に当たると跳ね返りやすい性質があるため、屋根裏や床下などに設置すれば、天井や壁などに当たり弱まる可能性があります。そのため、超音波グッズを設置する場合は、なるべくペットの行動する範囲に置かないようにしましょう。なお、設置後に異常があればすぐに使用を注意したほうがよいでしょう。
音に慣れると効果が薄れる
ネズミは、超音波グッズの音を聞き続けていると慣れて驚かなくなる可能性が高いです。いくら大きい音が鳴っていても、自分に危害がないことが分かれば、怖がる必要がないことを学習してしまうからです。超音波グッズでネズミを駆除するには、ネズミに常に警戒心を与えて、居心地の悪い環境を作り続けなければいけません。そのためには、定期的に設置場所や向きを変えるなど、変化をつけることが重要です。
超音波グッズによっては、電波の種類や発する時間を変更できる機能があるため、そのような機能を使うのも効果的でしょう。
まとめ
超音波はネズミにとって不快な音であり、これを利用してネズミを寄せ付けない、あるいは追い払うことができます。ペットショップやホームセンターでは超音波を利用したネズミ駆除器が販売されており、手軽に試せる方法として人気があります。
しかし、超音波駆除器の効果については疑問の声もあります。ネズミは超音波に慣れてしまうと、もはや気にせず行動するようになるという研究結果もあるのです。また、超音波はネズミだけでなく、人間やペットにも影響を及ぼす可能性があります。特に高齢者や乳幼児、ペットへの影響が懸念されています。超音波駆除器を使用する際は、その効果と人体への影響を十分に理解したうえで、適切に使用することが大切です。